モウコハン。

   

帝王切開の真実 その1

私は第1子である長男を予定帝王切開で出産しました。その理由は2つ。

骨盤位(こつばんい)=逆子
臍帯巻絡(さいたいけんらく)=臍帯が胎児に巻き付くこと

危険性を考慮し、「正期産」となる妊娠満37週を待ってすぐの帝王切開でした。

帝王切開の予感

私は妊娠初期から、帝王切開はゼッタイに嫌だと思っていました。それはもちろん、お腹を切られるなんて怖いから。

妊娠中期に入った頃、妊婦健診で骨盤位(逆子)になっていることがわかりました。でも逆子体操をすれば治る確率は高いと本に書いてあったし、医師からもそう言われ、その日からひたすら逆子体操に励むことになりました。その効果か?約1月後には胎児の頭が下を向いてくれました。

しかしその次の健診では再び逆子。既に妊娠8ヶ月目でお腹はかなり大きくなってるし、オマケに、二度目にひっくり返ったときに変な動きをしたらしく、胎児の首に臍の緒が巻き付いてしまっていました。

これから戻すのはもう無理みたい。こうなったら腹をくくって手術を受けるしかない!出産本の帝王切開に関する部分を熟読し、「陣痛がないぶん楽だ」「麻酔するから痛くないさ!」「水着はもう着ないからいいや!」などと自分を励まし、帝王切開の恐怖を忘れることに努めるのでありました。

決定

妊娠34週末をもって仕事を辞めた後はじめて行った健診で、こんな宣告を受けました。

赤ちゃんの首が臍の緒で締めつけられて栄養が行かなくなっている。もうこれ以上入れておいても育たない。もし破水したら、重力がかかることで首か絞まって 赤ちゃんはすぐに死んでしまう。

それは困る!できるだけ早く切って赤ちゃんを出してあげよう!ということで2週間後に手術することが決まり、これで赤ちゃんの誕生日が決まったんだな…と、冷静に思いました。

初めての入院

入院に備えて最後の準備で食材などの買い出しに。明日からはもう、こんなふうに外でゆっくり買物なんかできなくなります。

お風呂で自分のお腹を見ながら 、ココに一生残る傷跡ができちゃうのかと、ため息が少々…。でももう覚悟はできているし、怖さも無し!夜は特に緊張することもなく、グッスリと眠れました。

自分が生まれたとき以来、はじめての入院です。必要以上の荷物をバッグにたっぷり詰め込んで、夫と姑・実母とともに病院へ。そこは家から近い、小さなクリニック。休診日で待合室には誰もいません。受付にも診察室にも人影はなく、電気も消された状態。少し待って通りかかった看護師に名前を告げると、2階の個室へ案内されました。

これから自分のお腹を切って出産するということがイマイチ実感できません。隣の病室には、私の前に同じく帝王切開手術をするという妊婦さんがいました。あの人もか…私だけじゃないんだ!と思ったら、なんだか勇気がわいてきた!

手術前の準備

荷物をロッカーに入れて枕元に必要なものを出したりしてるいうち、に看護師が着替えと産褥セットを持ってきました。

「コレに着替えてベッドに横になってねー」と。下着は付けたままでいいというので、その通りに。私は左利きなので、右手から点滴を。手の甲に浮き出た血管に針が差し込まれ、無色透明な液体が私の体に入ってくる(この点滴針が抜かれたのは約1週間後)。そのあと手術室で剃毛を行い準備万端!

それから手術開始まで約6時間、ずーっとベッドの上で過ごすことに…。朝から何も口にしていなかった(禁止されていた)ので、お腹が空いてたまらない。そのうえ手術開始までの長い待ち時間。

※ たったの(?)十数年前ですが、当時はまだスマホもタブレットもなく、私の手元にあったのはパケ放題契約もしていないガラケーだけでした(泣)。

こんなに待たされるとは思っていなかったので本も持ってきていないし、とにかく暇~!!点滴が始まって少し経ったところで、付き添ってきた3人は腹ペコの私に「オマエの分までウマイもん食ってくるから♪」と言い残して去って行きました。

2時間ほど経って夫と母が戻ってきたものの、姑は「ヒマだ!待ってられない!生まれたら教えてくれればいい。」と帰ってしまったらしい(平常運転)。


腹ペコ&退屈も限界に達した頃…お隣さんの手術も終わり、ようやく私にお声が!!!!!
病室に迎えに来た看護師(さっきとは別の人)が「下着は着けてないよね?」…いや、着けている!!…そそくさと下着を外す私。もっと早く言ってくれ!

すると今度は「あら!指輪も外さなきゃダメよ!」
そのとき既に私の手は点滴でむくんで指も太くなり、なかなか外れない2つの指輪と格闘。石鹸で滑らせながらやっとの思いで外し、歩いて手術室へ移動。何に関してもこの病院は説明不足と準備不足が常。看護師のレベルが低いのです。


手術開始

さっき剃毛で一度入ったせいか、そんなに緊張感もなく。そこには看護師+助産婦が4人ほどいて、先生はまだいません。

手術台に乗り、着ていたものを脱ぎ、真っ裸で仰向けに。少し経って 院長先生と外国人の女医が登場。女医は私の全身を見るなり、片言の日本語で「アナタ身長いくつ? 小さいネ~!」
失礼なヤツ!確かに私はチビ。それでお腹が大きいのだから尚更小さく見えても無理はない。でも初対面でいきなりその言い方は失礼じゃないか~!!…などと思っているうちに麻酔の準備が始まりました。

いつの間にやら私の体には緑色のシートが掛けられ、頭にはシャワーキャップみたいなものを被せられ、胸のあたりには、自分のお腹が見えないように目隠しが設けられていました。それから左手に何か注射されたような気がする…。


仰向けの状態から右へ向きを変え、膝を抱えるようにして丸くなるように指示されるも、これが妊婦にはかなりキツイ体勢!

「ちょっと痛いですよ~」という声のあと、腰のあたりに麻酔が注射されました。私はそれほど大した痛みは感じませんでしたが、人によってはコレがメチャメチャ痛い!といいます。

そして注射のあとまたすぐ仰向けに戻ったら、もうその途中からすぐに下半身全体が痺れたような感じになって、あっという間に感覚が完全になくなりました。いつ始まるんだろう…と思っていたら、私の頭側にいた看護師が「もう始まってますからね~」

えっ!?もう切ってるの!? 私が熟読した出産本によれば、麻酔の効き具合を確かめるために医師がメスを少し当てて「感覚ありますかー?」と聞いてくるハズ…でした。これじゃ心の準備をするヒマもない。でもよく考えてみれば「今から切りますよ」なんて予告されるより、これで良かったんだと思いますがね。それにしても想定外が多いなと。

意識はハッキリしているのに目隠しの向こうでは自分のお腹が切られている… とても信じられない。痛みどころか、チクリとも感じないのだから。

何をされているのか全くわからないから、恐怖感もありませんでした。

なにかをハサミで切ってるような鈍い音と、頭の近くでプッ・プッ・プッ…という機械音。それから金属の手術道具を触る音が響いていました。

周りにいる看護師の雑談も聞かされながら、私はただ天井と睨めっこして待っているだけ。ヒマ~。


長男誕生

20分ほど経った頃、「もうすぐ赤ちゃん生まれますよ」

いよいよかぁ~!!なんていうワクワクした気持ちや緊張感はあまり無く、相変わらず待つだけのワタシ。この時点では、陣痛の痛みもなければ自分の体から赤ちゃんが出ていく実感も無いのです。

ただ、赤ちゃん誕生のときは自分の体がユッサユッサと揺らされている感じがしました。まるでバッグの中から大きな荷物を取り出すときのような揺れ方です。

そして間もなく「あ~、男の子!」の声(予定通り)。でも赤ちゃんの声がぜんぜん聞こえてきません。不安に思いながら少し待つと、「オギャー!」…とまではいかないけど、赤ちゃんらしい声が♪ すぐ横の時計を見ると7時7分ラッキーセブン!

「生まれましたよ~!おめでとうございます。元気ですよ!」

でも赤ちゃんの声はすぐに消えてしまいました(助産婦が沐浴室へ連れて行った)。

数分後、縫合している間に助産婦が私の赤ちゃんを連れて戻ってきました。白いタオルに包まれたその子は驚くほど小さい!まだ体脂がついているため全体が白くベタベタしています。赤ちゃんを抱いた助産婦が、私の左手を赤ちゃんの顔に持っていってくれました。柔らかくて、すごく温かーい!

あれこれと想像していたような出産の感動は(私の性格上)小さかったけれど、ちゃんと人間の形をして生まれてきた我が子を見てホッとしたと思ったら、赤ちゃんはまたすぐに連れて行かれました。長男は低出生体重児で弱かったので、一刻も早く新生児室で温めたりなどの処置をしてあげる必要があったようです。

縫合の間、ムカつくことがまた一つ…。さっき私を「小さい」と言った女医が、独り言のように「この人の静脈、スゴイ!」 …そっ、それはどーゆー意味ですか?????素人の私にはぜんぜん理解できないけど…決して良い気分はしないな。

それからこんなことも。
縫合の最中、「RHマイナス」という言葉が聞こえてきました。私はRHプラスですが!? …まさかっ!私はこのまま輸血ミスで死ぬのか!?
不安になって「私、RHプラスですけど…」
どうやら私の前に手術した人の血液型がA型RHマイナスで、看護婦たちはその話をしていたモヨウ…。紛らわしい!!



下半身の感覚がないまま病室へ戻る

縫合が終わると、「終わりましたよ。お疲れさま~!」の声。いつの間にか産褥パッドと産婦用のショーツを履かされ、お腹には自分で購入して持参したサラシが巻かれていました。それから私の体を看護師数人で持ち上げて服を着せ、ホットタオルで顔を拭いてくれました。

さて、いよいよ病室へ戻ります。運ばれているときはとても不思議。下半身の感覚がないから自分の体が上半身だけになってしまったような感覚。まるでフワフワと宙を浮いているみたいです。手短に手術の説明があり、今夜はもうそのまま眠るようにということでした。

帝王切開の真実 その2


はじめての帝王切開体験記
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