モウコハン。

   

くも膜下出血 - 別居

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”出て行く”騒動から約半年。

あんなに大騒ぎして私たち家族を振り回した母は、まるで何事も無かったのように我が家に居た。その間、私と母は何度となく口論を繰り返し、子供たちに見せたくない姿を晒してしまっていた。

憂鬱な日々

次男はまだしも、長男はもういろんな事がわかる歳になっている。こんな異様な状況を何度も目の当たりにし、小さな心で何を思っているのだろうか。ゴメンね、子供たち…。

こんなことを一体いつまで続ければ、平穏な生活が戻るのか…まったく先の見えない憂鬱な日々。私自身のストレスもさることながら、4歳の長男に及ぼす影響が一番心配だった。

母は私が何か言えばスグに逆ギレ。少しでも詰問すれば泣いて何も言わなくなるというパターンで話し合いにもならない。自分は娘にイジメられているとでも言いたげに被害者意識たっぷりの顔で安っぽい涙を流す。私がそれに腹を立てると、今度は逆に「酷い娘だ」と責められる。

”それでも親”

母が倒れたあの日から一年。私は本当に、出来る限りの努力はしてきた。普通の親子のような会話が一切無かったというのは異常だったけれど、それだけはどうしても出来なかった。母が今までしてきたことを考えたら、今さら親子の会話を望むのは、母のワガママだ。 でも、母はVIP待遇でないのがご不満のようだ。全てを笑って許さない私が悪いらしい。

謝罪の言葉一つなく、やってもらって当然!という顔をされ、私の苦労も子供たちへの悪影響も、そして、これまで何度も助けてくれた実兄である伯父さんへの感謝の念も、まったく感じていない様子。

…酷いのはどっちよ?

この一年、苦悩と葛藤の連続だった。こんなバカな親にさんざん裏切られ、理不尽に苦労を掛けられて、できることなら縁を切ってしまいたい!みんなのために、どこかへ消えてくれ!という思いと、それでもやっぱり自分の親なんだから…という思いが交錯する。

「どこかへ行ってしまってくれたら楽なのに…」という気持ちが49.9%。「それでも自分の親なんだから…」という気持ちが50.1%といったところか。

一言も謝ってもらえなくても、どんなに逆ギレされても、「それでも自分の親なんだから…」という気持ちが、ほんの僅かながら、勝っていた。こんなどうしようもない親だけど、私が放棄してしまったら、誰がこの人の面倒をみるのか。また他の誰かに迷惑をかけるわけにはいかない!
…どうしても責任感が勝ってしまう。




ヤバイもの

母と同居し始めてから約1年が過ぎようとしていたある日、母宛てに書留郵便が届いた。

封筒に書いてある差出人名を見ると…それは某クレジットカード会社の社名!!そのとき母は留守だったが、これは何かヤバイ物に違いない!と思った私は慌てて封筒を開けて中身を確認。中に入っていたのはキャッシング機能付きのクレジットカードだった。

この時点で、母がウチの保険証を使って勝手にクレジットカードを作ったということだけは想像できたけど、私自身がそれまでクレジットカードというものを持ったことがなく、そういう類については無知だったので、ネットでその会社のサイトを調べ、このカードについての情報を手当たり次第読んでみた。そして判明したのが、

某デパートのポイントカードにクレジット機能がついたものであること。
成人ならば定職に就いてなくても年金生活者でも作れてしまうこと。
利用限度額は多くないが、買い物のローンだけでなく現金も借りることができるということ。

そして、その利率が高いこと

…またかよ!!!

打つ手なし

帰ってきた母を問い詰めると、母は悪びれることもなく、「デパートの人が勧誘するのが上手だったから」「”クレジット機能は使わない”って言ってあるから」などと無理のあるイイワケを繰り返し、決して自分は悪くない・問題ないと言い張る。

私はスグにカード会社へ電話し、母も電話に出させてカードを解約させた。

それから恥を覚悟の上で、”母は浪費者だから、こういったカードは作らせたくない。何か防ぐ方法はないのか?”と聞いてみた。

カード会社の説明では、成人ならば誰でも作れてしまうカードなので、家族から「今後は作らせないでくれ」と言われても、本人がどこかの店頭などで申し込んでくれば断ることはできないのだという。身分証明書となる保険証を持たせない、印鑑も持たせないのが唯一の阻止策だ。

やっぱりね…
だから私は、母にはお金も保険証も印鑑も持たせずにいたのに、半年前の騒動で伯父さんが母にお金を渡してしまったのが再転落の始まりだった。母はそのお金で印鑑を買い、母が我が家から出て行くと豪語して家を探しに行くとき、出先で何かあっては困るたろうと思って私が渡しておいた保険証を、こんなふうに悪用していたのだ。人の善意を尽く踏みにじって…またしても同じ過ちを犯そうとしている母。それを阻止しようと常に神経をピリピリさせる私。

こうなったら最後の手段で成年後見制度でも利用して母の保佐人になろか?とまで本気で考えた。昔でいう「準禁治産者」(浪費者)だ。でも実際、単なる浪費者には適用されない制度であるため、精神的障害など、よほどの理由がなければこれも無理だろう…なんてイロイロ考えてみたり。

…っていうか、なんでワタシ、こんなことまで考えなきゃいけないのさ!?

夫婦みたいに紙切れ一枚で縁が切れるものだったら… それと同時に責任感も捨て去ることができたなら… どんなに楽だろう。




とうとう見放される

このままずっと同居を続けていくというのは 私たち家族にとって、特に子供たちにとって悪い影響を及ぼすし、また母にとっても決して良くはないだろう…という私の提案で公営住宅への入居を目指すことになった。…とはいってもモチロン簡単なことではない。この自治体の住民となってから数年経過しないと応募できないとか、単身者向け住宅にしか応募できない(=募集戸数が少ない)とか、そもそも入居募集の回数が少ないとか、倍率も高いなどといった様々な問題がある。 それらを全てクリアするだけでも、いったい何年かかるか知れない。もっと言ってしまえば、それが一部の組織・団体やらコネクションに支配され決して公平ではないというブラックな現実もある。

その間、私たち家族はトラブルメーカーと一緒に生活し続け、また何度と繰り返されるかもしれない騒動に翻弄され、私はまた母に逆ギレされ、責められ、子供たちの心も傷つけていかなければならないのか…

…気が遠くなる… そこで私はまた考えて、思い切ってこんな提案をした。

いっそのこと、もう一度だけ伯父さんに頼んで支援してもらい、近くに安いアパートを借りて独立し、そこで公営住宅の当選を目指したらどうか?

ちょうど私の友人が内職の仕事を紹介してくれるという話があったので、体力的に外で働けないなら地道に内職で生活費を稼いで、あとは年金を頼りにすれば、なんとかやっていけるだろう…

母は消極的な態度で「(伯父さんに)相談してみる」とだけ答えた。

翌日、伯父さんから私に電話が。

伯父「お前んとこ、どうなってるんだ?」
私「…え?」
伯父「 ”出て行け”って言ったのか!?」

なんだかワケがわからないけど、いきなり怒っている。

伯父「俺はもう口出ししたくないし、何もできない。あとはお前たちで話し合って なんとかしろ!」

あの穏やかな伯父さんとはまるで別人のような口調で一方的にそう言い放って、電話は切られた。いったい何がどうなってるの??

すぐさま母の部屋へ行き、事情を聞こうとする私。でも母は何も答えようとしない。何故かまた泣き始める。子供たちが退屈しながら待つ中で2時間もかかってようやく母の口から聞き出したそのワケとは…

「知らないお婆さん」

半年前、母が出て行くと騒いだあの直後、母は既に伯父さんから 独立費用として50万円を受け取っていて、そのうち42万円を名前も知らない他人に「貸した」という。そして、そのままトンズラされたというのだ。

あり得る? なんだかもう、呆れるより先に笑ってしまう。

その相手は図書館で知り合って何度か話したことのあるお婆ちゃんで、名前も住所も知らないのだという。もちろん、借用書も交わしていない。ただ、「イイ人だから、そんな事(トンズラ)するワケないと思った」「また図書館に行けば会えるから返してもらえると思った」と…。

こーゆーの、何回目?昔っから同じようなことして大金騙し取られてませんでしたか!? まったく、学習能力がない人間の象徴だ。この家で生活していくのには全く必要ないハズのクレジットカードを母が作った理由が、ここでやっと見えてきた。

私にとって一番許せないのはまたもや 私のことは一番後回しにされた!という事実。母が使い込んだ私の奨学金の返済がまだたっぷり残っていることを承知していながら、名前も知らない赤の他人に”貸す”ことのほうを優先したのだから…。

そもそもそのお金は、伯父さんが「独立費用」として母に援助してくれたもの。なのに母はお金を受け取った瞬間に自分のお金として認識してしまい、本来の目的や伯父さんの気持ちなど、まったく考えられなくなってしまう。ここ数ヶ月は図書館に足繁く通い、そのお婆ちゃんが現れるのをひたすら待ったり、当てもなく町じゅうを歩き回って探していたのだというが…

名前も教えずに金を得た相手が図書館にノコノコ現れるワケがない。もし会えたとしても「借りてない」と言われれば終わり。そんな簡単なことが、母にはわからない。病気の後遺症か?とも思いたくなるほどのバカっぷりだけど、残念ながらこれは昔からだ。

半年前は冗談まじりに「金は俺が出すから(母を)自由にさせてやれ。こっちは金が余ってるんだから、ポポロンは気にするな。」とまで言ってくれていた伯父さんが、さっきいきなり怒っていたのには、こんなとんでもない事情が隠されていたのだった。さすがの伯父さんも、とうとう母を見放したのだ。
当然だよね…

この話を聞き出すとき、「何があったの?教えてよ!」と詰問する私に、母はいつもより更に被害者意識たっぷりの顔で激しく泣きながら、「もう、やめてよ!!」

何も聞かずに、何も言わずに、何も無かった事にして許せ!そうじゃないと自分が可哀相だ!こんなことを聞くなんて酷い娘だ!という態度。私の中の、母への怒りと嫌悪感が最高潮に達した瞬間だった。ほんの僅かに勝っていた「それでも自分の親なんだから…」という思いが一気に薄らいでいく。

疲弊

とにかく一日も早く、ココから出て行ってほしい!!これ以上、ウチの住所や保険証を使って変な事をされては困る!

私は「もう一度、伯父さんに頭を下げて独立費用を出してもらって出て行ってくれ!」と母を突き放し、そのために生活保護に関する情報や安いアパートをネットで探し、プリントアウトして母に渡した。

すると今度は「公園で寝るしかない」「死に場所を探すしかない」などと同情を買うための言葉をズラズラ並べて泣く母。コチラの善意や情といったものを上手く利用しようとしているのが見え見え。

もう騙されないよ。その手には乗らない!!と思いながらも、母の今後の生活まで考えてしまう私の弱さ(?)

そりゃぁ、実の親に「公園で寝る」とか「死に場所を探す」なんて 言われたくないよ… そんなコト言われたらツライよ…
だからといって「このままココに居ていいよ」とも、もう言えない状況。どうしてそんなに私を追い詰めるのか…

私は泣きながら母に訴えた。

「公園で寝る」とか「死に場所を探す」なんていう言葉はもう言わないでくれ!そんなことを言われる方の身にもなってくれ!私たちは今まで、出来る限りのことはしてきた。これ以上は無理だ!私は子供たちを守らなきゃいけない。いいかげんに現実を見て、ちゃんと考えてほしい!

私の体にもこの人と同じ血が流れているかと思うと虫唾が走る、たまらなく自己嫌悪に陥る。

またも奔走

数日後、母は我が家から出て行った。伯父さんから「これが本当に最後だぞ」と念を押されて受け取ったお金で…。

伯父さんから新たに援助してもらったお金の残りや、これから入る年金など、全て私が管理していくことにした。アパートの契約金は最低限に抑えた。長男が幼稚園へ行っている間に次男を連れて母の引越し準備に動きまわった。生活に必要な細かい物はほとんど100均で買い揃え、ホームセンターをハジコして安い家具やカーテンを必要最低限だけ買い、役所へ行って手続をしたり、引越し当日は夫にも手伝ってもらって荷物を運び、当座の食料まで買い揃えて母に届けた。

…ワタシ、去年の今頃もこんなコトやってたような気がするなぁ~。

母が出て行ってくれたのは良いけれど、イマイチ解放されない感がある。それは、これからも母のお金の管理を私がしていかなければならないから。アパートの契約をする際、夫が連帯保証人となった。他に誰もいないから、仕方なく…。連帯保証人になったからには、家賃を滞納されたら困る!!いつか母がこの世を去ってくれるまで、私の苦労は続くことになる。

これから生活保護の申請もさせようと思っているけれどスグに出来ることではないので、今は、伯父さんから援助してもらったお金の残りと これから支給される年金を節約して使っていくしかない。家賃や公共料金の支払いは 全て私がキチンとやっていくしかない。お米や洗剤・調味料などは全て私が買い揃えて届け、食費として1日500円ずつに押さえてもらうことにした。でも母は、あればあるだけ使ってしまう人。どうしよう…?

考えた末、私は毎月わざわざ銀行で両替し、全て500円玉にして母に渡すことにした。(この苦肉の策についても、後に母から文句を言われることに…)

望み

私がここまで ”思考”錯誤してバカ親のために奔走しているというのに、母の口から出てくるのは不満の言葉ばかり。引越しの時も、一言だって感謝の言葉もなければ謝罪の言葉もなかった。”やってもらって当たり前”というか、逆に”出て行ってやるんだから感謝しろ”というような態度に見える。

もうホントに疲れ果てたよ…

私は一体いつになったらあの母から解放されるんだろう?
正直、母が居なくなった我が家は平和で快適そのものだ。私の一番の望みは、母にこの先の余生をトラブルなど起こさず、穏やかに過ごしてほしいということ。でも、母にはこれが一番難しいのかもしれない。

追記

この記事を書いてから、既に10年が経過した。

母はいまだに生きている。そして私はいまだに母の呪縛に苦しんでいる…。

書きたいことは山ほどあるけれど、それは母が死んだら、まとめて書こうと思う。

親が病気になったとき
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